君の弾くピアノ

　実はぼくは好きだったんだ
　
　君はうちにくるとピアノをよく弾いてくれた

　いつも同じように間違いながら
　でも少しずつ上達していくピアノの
　音にぼくは喜びを感じていたんだ

　君の家でもよく練習をしていたね
　ぼくを起こさないようにと
　ヘッドフォンをつけて　

　きれいな風景をそこでぼくは見ていられた
　とても実は嬉しかったんだよ

　君のピアノを弾く姿は様になっていて
　練習する姿も真剣そのものだったんだ

　ピアノのおさらい会には
　うちのお母さんと僕とで毎年見に行ってたんだ

　なんだか見ているぼくのほうが
　とても緊張していたんだ
　
　君の演奏中はとても真剣に聞けたし
　なにより君の練習の成果が表われていたんだ

　君は輝いて見えた
　
　うん　かっこよかったんだよすごく
　自慢の彼女だったんだ

　発表のあとは３人でご飯を食べに行ったよね
　なんだか３人が家族のようだったよ
　
　姉と弟と母

　そんな感覚がそのときは当たり前だったね
　その時は今の現状になるなんて思いもしなかったよ

　君はもういないし
　ぼくはなぜかそれに納得してしまったし

　ぼくはわかってしまったんだよね
　君の気持ちがとっても
　過去に自分がそうしたように
　君もいまいろんなこと考えて
　今こうなってしまったんだ

　ぼくの気持ちなんて考えずに
　君は遠くに行ってしまった

　でもそれでいいんだ
　ぼくは納得してるんだから
　
　それで君が幸せなら
　ぼくもそれで幸せ

　きみはぼくの　
　
　大事な人だから


　きみが生きていて

　何も悲しいことがないのなら

　ぼくはそれで幸せを感じれる

　きみが幸せなら

　ぼくはなにも悪く思わないんだよ
　ぼくはそれだけで救われるんだ

　これが最後

　もうきみのためだけに
　こうやって書くことはないだろう

　きみのとのことは
　もっとあるけど
　これでおしまいにします

　君が好きな人と
　君がずっと幸せでありますように

　今はとても
　おおらかな気持ちでこの文章を
　終われることを
　幸せに思います

　ぼくはこれから
　色々
　この広い世界を
　旅して行こうと思います

　ああ
　あなたに幸せが訪れますように



　

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